4 July, 2014
スタジアムで最高の瞬間が3つある。1つ目は、売店などがあるコンコースから観戦スタンドへの通路を登りフィールドが見える瞬間。あの歓声、あの景色がたまらなく好き。期待に胸を躍らせカステロンスタジアムに一歩踏み入れると、期待を裏切らない日本戦とはまるで別次元の世界が待っていた。これが南米の真剣勝負。すさまじいホームの熱気。いっしょに観に行ったブラジレイラも目を輝かせ言葉を失い感動していた。
2つ目はゴールの瞬間。ネーイマールのコーナーキックをキャプテンのチアゴ・シウバがあわせ先制ゴールを決めた時、ダビド・ルイスの無回転FKがゴールネットを揺らした時、スタジアムは文字通り震撼した。腹の底から絶叫し、拳を突き上げるもの、踊り跳ね狂うもの、抱きしめ合うもの。これ以上の喜びの表現はないというほどゴールを祝う。
3つ目は、勝利を告げる試合終了ホイッスルの瞬間。90分間とロスタイムの緊張から解放され勝利の歌を唄う。スタジアムを出て同じ光景を見ていたサポーター仲間と拳をあわせる。帰り道の仮装したサポーターの行進をまるでカーニバルでも観るかのように地元の人が眺めている。街に出るとフェンフェスタやバーで観戦していた人もいっしょにどんちゃん騒ぎ。その宴に改めて今日の勝利を確信する。
この日、フォルタレーザの街ではブラジルの勝利の歌が朝まで響き渡った。しかしそこにはネイマールが負傷して今大会絶望的という不協和音も聴こえてきた。次戦はキャプテンのチアゴ・シウバも累積退場で出場できない。準決勝の相手はいずれも強国のドイツかフランス。考えたくないけど、もしかしたら今大会ブラジルの勝利を見られるのは今日が最期かもしれない。
著者:Ken Utsumi #u23ken
『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。