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Belo Horizonte(ベロオリゾンテ):ミネイロンの惨劇 part 1/3「ブラジルvsドイツ」

8 July, 2014

ミネイロンの惨劇まで数時間前

その朝は遠足にいく子供のようにいつもより早く目が覚め、ノバ・リマの朝日を浴びて今日もブラジルにいる幸せを感じていた。「今日は勝てないと思う。」テラスからそれほど遠くない空を眺め、ブラジリアンらしからぬ弱気なホストがつぶやく。「まだ負けたわけではない。」心の中で同意する気持ちを追い出すように、ブラジリアンらしく陽気なサムライがはげます。「笑えるうちに写真を撮ろう。」冗談とも本気ともつかない。決勝の地マラカナンにブラジルが立てることを願い記念撮影をする。

belohorizonte-brazil-germany 2ホームステイ先のノバ・リマから市内バスでベロオリゾンテのダウンタウンまで出て、そこからスタジアム行きのシャトルバスに乗り換える。車内はカナリアサポーター応援ツアーと化す。ドイツの恐怖を打ち消すかのように大声でチャントを叫ぶ。窓から身を乗り出し沿道を歩くブラジルサポーターと呼応する。不安を紛らわすため揺れる車内ではしゃぎ踊るブラジレイロ。それを見守るブラジレイラの表情は不安というか馬鹿騒ぎできるものこれが最期かもしれないと覚悟しているかのようにも見える。

王国のサポーターはサッカーをよく知っている。ネイマールとチウゴ・シルバを欠き強豪ドイツに勝つことがどれだけ難しいことかよくわかっている。コロンビア戦後から次は勝てないかもしれないと言うブラジリアンは多かった。ベロオリゾンテに今までの試合と違う緊張感が走る。

belohorizonte-brazil-germany 17若きオスカー・ニューマイヤーによりデザインされたサンフランシスコデアシス教会を過ぎると、パンプーリャ湖畔の向こうにミネイロンが見えてくる。緑の芝生と林、青い空と湖、カナリア色のサポーターの絶妙の配色。オスカーはここまで計算していたのかどうかわからないが、こんなに美しく絵になるスタジアムまでの道のりは他に記憶がない。

belohorizonte-brazil-germany 8サンルイスのホストファミリーにもらったマフラー、レシフェの地元の友達から譲り受けたウィッグ、ナタールでホストファミリーがくれたフラッグ、クイアバでブラジリアンサポーターにハチマキと交換をせがまれ手に入れたユニフォーム、戦利品の集大成とも言えるフル装備の応援コスチュームはブラジリアンに大人気。バスで仲良くなったブラジレイラに引っ張られ、日本のネイマールはフェリッペ監督似のおじさんといっしょに何局かのテレビに映った。英語のアナウンサーには気の利いたコメントもできたけど、地元の番組ではポルトガル語の台本を用意された。

belohorizonte-brazil-germany 11アフェイでも物怖じしないドイツ人サポーターはチームと同じでたくましい。圧倒多数のブラジルコールが湧く中2002年の借りを返すとドイツコールで応戦する。ネイマールがいないとはいえ完全アウェイの地でホスト国ブラジルは優勝するための一番の障壁。事実上の決勝戦。仮にセレソンがゴール許してもサポーターが黙ってはいない。いよいよという局面を迎えるとドイツがブラジルを下すなんてことは許されない空気になるだろう。この互いに大きなプレッシャーの中、両チームの夢をかけた試合を前に全身からアドレナリンが溢れ出す。

そして熱狂の渦の中キックオフのホイッスルが鳴る。

→Part 2

 

 


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

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Fortaleza(フォルタレーザ):スタジアムで最高の3つの瞬間「ブラジルvsコロンビア」

4 July, 2014

スタジアムで最高の瞬間が3つある。1つ目は、売店などがあるコンコースから観戦スタンドへの通路を登りフィールドが見える瞬間。あの歓声、あの景色がたまらなく好き。期待に胸を躍らせカステロンスタジアムに一歩踏み入れると、期待を裏切らない日本戦とはまるで別次元の世界が待っていた。これが南米の真剣勝負。すさまじいホームの熱気。いっしょに観に行ったブラジレイラも目を輝かせ言葉を失い感動していた。

2つ目はゴールの瞬間。ネーイマールのコーナーキックをキャプテンのチアゴ・シウバがあわせ先制ゴールを決めた時、ダビド・ルイスの無回転FKがゴールネットを揺らした時、スタジアムは文字通り震撼した。腹の底から絶叫し、拳を突き上げるもの、踊り跳ね狂うもの、抱きしめ合うもの。これ以上の喜びの表現はないというほどゴールを祝う。

3つ目は、勝利を告げる試合終了ホイッスルの瞬間。90分間とロスタイムの緊張から解放され勝利の歌を唄う。スタジアムを出て同じ光景を見ていたサポーター仲間と拳をあわせる。帰り道の仮装したサポーターの行進をまるでカーニバルでも観るかのように地元の人が眺めている。街に出るとフェンフェスタやバーで観戦していた人もいっしょにどんちゃん騒ぎ。その宴に改めて今日の勝利を確信する。

この日、フォルタレーザの街ではブラジルの勝利の歌が朝まで響き渡った。しかしそこにはネイマールが負傷して今大会絶望的という不協和音も聴こえてきた。次戦はキャプテンのチアゴ・シウバも累積退場で出場できない。準決勝の相手はいずれも強国のドイツかフランス。考えたくないけど、もしかしたら今大会ブラジルの勝利を見られるのは今日が最期かもしれない。


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

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Fortaleza(フォルタレーザ):22歳10番クラッキ対決「ブラジルvsコロンビア」

2 July, 2014

開幕からワールドカップも前半が終了。連日の熱い試合にアドレナリンを放出し寝不足気味のサッカー馬鹿は後半戦に向けたハーフタイムで回復。たまっている仕事をしたりホストファミリーとお出かけする。日本は敗退したけどワールドカップがおもしろいのはこれから。決勝ラウンドはいきないめちゃくちゃおもしろい試合が待っている。

natal-studium 10フォルタレーザで行われるブラジル対コロンビア。ベスト8にして今大会ベストゲームの予感がする決勝のマラカナンで見たかった好カード。ブラジルには勝ってほしいし、日本に勝ったコロンビアにも勝ってほしい。クイアバでは日本にとどめを刺し、マラカナで行われたウルグアイ戦では芸術的なボレーを決め、早くも”ブラジル大会の顔”、”2014年ワールドカップの衝撃”と言われる、ハメス・ロドリゲス。説明不要のブラジルの若き英雄ネイマール。サッカーはチーム戦であり見出しに踊らされたくないが”22歳の10番エースクラッキ”対決という小説のようなシナリオに興奮せずにはいられない。

japan-vs-colombia-cuiaba 13そして本当の見所は、負けが許されないホスト国ブラジルと勝ったら大金星のコロンビアという構図。ブラジルはかつてのような強力な戦力があるわけでもなくホームの重圧なプレッシャーの中で実はギリギリの勝利を拾ってきた。対照的にコロンビアはフォルカオを欠いてもなおタレントが豊富で、ロドリゲス以外にチーム力もありのびのびとプレーして勢いにのっている。この試合、コロンビアが勝ってもおかしくない。 どんなドラマが待っているのか。いまから胸がドキドキ。

 


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

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