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London(ロンドン):X JAPAN at ‘The SSE Arena, WEMBLEY’ -March 4th, 2017レポート

2017 .3.4 Sun London

2017年3月4日、ウェンブリー。もうすぐメジャーデビュー30周年、バンド結成40周年を迎えようかというX Japanの、同窓会にしない新作映画と新曲による、Rockの本場ロンドンでの挑戦。FANKS(*TM Networkファンの愛称)の僕を嫉妬させるに十分な、新しいX伝説の幕開けに立ち会ったと感じさせるような夜だった。小泉元首相でなくとも「感動した。」と言うだろう。ジャンルや次元は違えど、世界に挑戦する者なら、彼らの終わらない挑戦に、刺激を受けずにはいられない。

実は2010年の北米ツアーでトロントのマッセイホールに来た時もXのライブを観ている。あの時は、数千人のホールでもチケットは売れ残った。おかげでToshiの表情もわかる5列目ぐらいの距離で観れて個人的にはラッキー。一方で、よく日本の音楽業界である海外でライブしましたと箔をつけたいだけの記念ライブ感も否めなかったのは事実。

あのライブと比べると今回は遥かに進化し、ウェンブリーアリーナで1万人のファンが「We are X」と飛び叫んだ。現地に来ていたファンと23人ぐらいは話したところ、彼女たちはロンドンだけでなくマンチェスターやリバプールなどイギリス中からも、イギリスだけでなくスペインからもスェーデンからもヨーロッパ中から、もちろん日本や香港からのファンも来ていた。

席の周囲を見渡すと、前列にYoshikiとToshiのコスプレをした二人の運命共同体とトロントから来た旅人の自分を除き、話せる距離の観衆はみんな外国人のファン。New Orderのライブやクラブで会いそうなパンクなイギリス人もいれば、Blurを聴いてそうなブリットなかわいらしいフランス人もいた。1年前に行く予定だった友達が行けなくなったからと、余ったチケットを譲ってくれたのも中東から留学中の子。会場全体で見て7~8割ぐらいは外国人の印象。

過去の経験は多分に今回の成功の元となったはずだ。Pataの病気で1年延期したプレッシャーと意気込みも半端ではなかっただろう。ロンドンの地下鉄や街中でポスターを目にしたし、アルバム販売イベントも盛り上がり、アリーナを埋めるためにプロモーションに相当の力をいれていたと想像する。英語も必死でトレーニングしたんだろう。狙ってローカライズしたかのか結果的にそうなったのかわからないけれど、ロンドン仕様のライブに作り込まれていたように感じた。

まず、すごくよかったのが前座がわりにライブの前に流された映画『We are X』。Yoshikiの葛藤、Taijiの脱退、Hideの死、Toshiの洗脳といったXからX Japanにかけての歴史をハリウッドで製作したドキュメンタリー映画は質が高く、ファンの思い出を掘り起こし、予備知識なしに来た観客をファンに変える。日本の報道シーンをはじめて見た外国人も多い。謳い文句にあるように、Xを知らなかった観客が、映画を見終わる頃にはXのファンになるか、少なくともこのバンドの音楽を聴きたくなるだろう。そんな気持ちにさせた映画の終幕から間を入れずRusty Nailの演奏をスタート。もちろん一曲目から最高に盛り上がる。40分の上映遅れも帳消し。この映画もXもこれから世界でもっと評価される気がする。真似するミュージシャンも出てくるだろう。

つぎに、セットリストがいい。Xぐらいになれば、懐古主義に走ったり、過去の焼き回しになりかねない。そこをいつもの曲はほどほどに、英語歌詞の多いラストアルバム以降の曲や、全部英語の新曲をガンガン演奏した。外国人がEndless Rainやkurenaiを合唱するのを聞いて、その気遣いは必要だったのはかわからくなる。日本でOasisがライブをしたら日本人もDon’t look back in angerを合唱するようなものなのか、英語と日本語の立ち位置を考えるとちょっと違う気もする。MCは日本語のようにはいかずToshiの口数は少なめ。それでもYoshikiを中心にToshiもできる限りの英語で必死にしていたから外国人ファンは好感を持ったはず。

ニューアルバムのためにレコーディングをしたのもおもしろかった。使われているかどうかもわからない何万人の一の声だとしても、自分がコーラスを歌ったアルバムが完成したら聴きたくなるに決まっている。YoshikiとToshiの休憩時間をPataやHeathのギターやベースのソロで作るのは、お決まりの手法だがいいスパイスになる。Sugizoのバイオリンは新生X Japanの象徴的なシーン。HideやTaijiも懐かしい映像とともにセッションした。飛べ飛べ飛べとX Japmする。昔のライブでHideをステージに召喚したホログラムをまたやって欲しい。

個人的には、UKに敬意を込めたQueenやDevid Bowieがサプライズでもあり、ウェンブリーの印象として残っている。Bohemian Rhapsodyなんて日本人は歌える人は少ないから外国人ファンがリードしてくれた。ライブはオーディエンスで半分ぐらい決まる。客層がダサいと、どんなクールなミュージシャンも残念なライブになる。ウェンブリーでは、勘違いしてるのも一部いたけど、音楽の楽しみ方を知っているヨーロピアンがすごくいい感じの雰囲気を作ってくれた。

間延びする休憩や予定調和のダブルアンコールも愛嬌で、6時40分に映画が始まって23時近くまでのライブに関わらず、まだまだ聴きたかった曲が残っているのはさすが。KISSの誰かも言ってたように、もしXがUSのバンドなら世界的バンドになっていてもおかしくないとお世辞抜きに思う。いやこれからなっても驚かない。

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映画『We are X』は絶賛上映中。サントラCDも発売中。

 

X JAPAN at ‘The SSE Arena, WEMBLEY -March 4th, 2017

#0 Film ”We are X ~Wembley Special Edition”
#1 Rusty Nail
#2 HERO
#3 JADE
#4 Kiss The Sky
#5 Beneath The Skin
#6 Pata Guitar solo
#7 Heath Bass solo
#8 Drain
#9 Sugizo Violin solo
#10 La Venus
#11 MC ~Say Anything
#12 Born To Be Free
#13 Kurenai

Encore 2
#14 Yoshiki Piano solo ~ Drum solo
#15 Without You
#16 I.V.
#17 X

Encore 2
#18 Bohemian Rhapsody
#19 Space Oddity
#20 Endless Rain
#21 Sugizo Violin solo
#22 Yoshiki Piano Solo
#23 Art of Life

SE
# Ending Tears
# Ending Forever Love
# Say Anything


執筆・撮影・編集

Ken Utsumi #u23ken

『World Odyssey: 世界23周の旅』5周目。2001年からノマドライフ。2003年トロント留学中に起業。Future Life/Work《未来の生き方/働き方》に挑戦し、海外留学・訪日外国人旅行・ドローン・Mac・クリエイティブ等を支援するエージェント、未来法人U23代表CEO/CDO。神戸生まれサッカー好き旅人。