Tag Archives: サッカー

RIo de Janeiro(リオデジャネイロ):決勝前夜祭

12 July, 2014

決勝戦の前夜はこの前お世話になったホームステイに今までの滞在者とご近所さんが集まりワールドカップ前夜祭ハウスパーティー。自宅で家族といっしょに大音量で歌えや飲めや踊れやの宴ができるブラジリアンファミリー最高。25時のラパは決戦を控えたアルゼンチンとドイツのサポーターがチャントをこだまさせていた。


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

worldcup-final-before-party 10

BELO HORIZONTE(ベロオリゾンテ):ミネイロンの惨劇 PART 3/3「ブラジルVSドイツ」

8 July, 2014

Part 2

ミネイロンの惨劇から数時間後

試合終了後、たんたんとしたミネイロンからの帰り道。青空から夜空に変わったパンプーリャ湖畔は数時間前までお祭りだったのが嘘のような空虚感。今夜のことは記憶から消し去りたいというより、何もなかったかのような雰囲気。ブラジルが優勝すると虚勢を張りながら、心のどこかであるいははっきりとドイツには勝てないと思っていたブラジリアンは多い。とは言えここまで打ちのめされる覚悟もしてなければ経験もないからどう反応したらいいかもわからないのが正直なとこだろう。

このまま家に帰る気分にもならず一人でセントロのパーティーエリアへ繰り出す。試合後のストリートには人が溢れかえり爆音が聞こえてくるけど、いままでの街にはあった底抜けのエネルギーは感じられない。

ジャーマニーもさすがに試合前のようなチャントの大合唱は自粛している。一流のサポーターは相手に敬意を忘れない。問題を起こすのは一部の人で多くの本当にサッカーを心から愛するサポーターはフレンドリーな交流を好む。

belohorizonte-brazil-germany-af 2日頃の鬱憤を当たり散らすように騒ぐ輩はいつでもどこにでもいる。今夜は特にブラジリアン同士の喧嘩が多くそれを制止する警官隊は忙しそう。小競り合いは普段から荒れた国ではよくあることで自分が見た範囲では特別な様子はなかった。特別というのは、車がひっくり返えり、炎があがり、ショーウィンドウが割られたようなスタンレーカップの時にバンクーバーで経験したような暴動をさしている。

勘違いする人が出てこないように警告しておくと、同じ景色を見ていても時間・場所・その人の経験により見える世界は変わる。数分前に恋人たちが熱い抱擁をしていた場所で、殴り合いの喧嘩が始まったりする。曲がり角を一つ曲がるだけで、扉を一つ潜るだけで世界が変わる。それが夜の街。慣れない観光客が無防備に踏み入るには危険。かといってブラジルでナイトライフを楽しまないのは海へ来て泳がないぐらいもったいない。”旅とは海である“でも書いたようにその人のレベルに応じた場所で泳げるところで泳げばいい。
belohorizonte-brazil-germany-af 10この夜はドイツサポーターともフレンドリーに話せるブラジレイロやアトレチコ・ミネイロのサポーターたちに誘われて惨劇の夜を過ごした。彼女たちは1-7を変わるきっかけにできる度量がある。屈辱を乗り越えここからもう一度強くなろうとしている。ワールドカップ過去最多優勝国の証である5つの星が輝いている。それでもふとした瞬間に惨劇を思い出したのかショックを垣間見る。深夜を過ぎても盛り上がりもそこそこに、明日からはもとの生活に戻るだけ。

ブラジルが大敗しても、ワールドカップで地元のブラジリアンがくれたホスピタリティやエンターテイメントは色褪せない。これを糧に最強のブラジルが帰ってくることをみんな期待している。

今大会は決勝でメッシが5人抜でもしない限り、いやそれでもなお優勝チームでもなくドイツの大勝でもなくブラジルの大敗が記録に残る大会になるだろう。アフリカ、ドイツ大会と違い、最初から最後までブラジルが主役だった。

 

 


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

belohorizonte-brazil-germany-af 8

Belo Horizonte(ベロオリゾンテ):ミネイロンの惨劇 PART 2/3「ブラジルVSドイツ」

8 July, 2014

→Part  1

ミネイロンの惨劇

悲劇、惨劇、悪夢、屈辱、崩壊、虐殺、破滅…
あらゆる絶望の言葉を並べてもまだ足りない、この先年十年と語り継がれるであろう歴史的事件が起きた。

熱狂の渦の中キックオフのホイッスルが鳴る。誰が音頭をとるわけでもなく自然に生み出される圧倒的なブラジルのホームの雰囲気に武者震いする。そんなサポーターの後押しもむなしく、試合開始11分後、惨劇の序章がはじまる。ドイツのミューラーがブラジルゴールを揺らした。歓喜に湧くドイツサポーター、それを掻き消すように一層ボルテージをあげるブラジルサポーター。スタジアムは両サポーターの地鳴りのような大歓声に包まれる。

そして”魔の6分”を迎える。ドイツの容赦ない攻撃によりブラジルの守備は崩壊する。前半23分クローゼの2点目の追加ゴールに悲鳴が聞こえる。ざわめきがまだ残る24分クロースが3点目のゴールを決める。立て続けに26分再びクロースにより4点目のゴールでネットを揺らした頃には失望が絶望に変わっていた。泣き崩れる人、放心状態の人、怒りを通り越してしらける人。これ以上は観てられないとスタジアムを去ろうとする最中にも、29分ケディラに5点目をお見舞いされる。もはや悲鳴もでない。ドイツのゴールに絶叫し拍手をするカナリア色のサポーターもでてきた。

それはまさに悪夢、多くのブラジルサポーターが目の前で起きている信じがたい現実を受け入れられないでいた。自分はこの惨劇の中どんな面をしていたのだろう。スタジアムのあちこちで喧嘩や乱闘の小競り合いが起き試合どころではないという形相の観客もいたが、むしろ喧嘩どころではなかった。降りかかるビールや人を払いのけ歴史的瞬間をじっと俯瞰していた。

ブラジルに来てから一ヶ月以上ブラジリアンファミリー宅でホームステイをしてブラジリアンの友達と過ごしていもう半分ブラジリアンになっていた。文字通り目を覆いたくなる光景。強かった父が手も足も出せず殴り倒されているそんな気分だ。そこに王者の面影はもはやない。失意のどん底に突き落とされた。

前半終了時点で5-0。これがボクシングならタオルが投げられていただろう。しかしサッカーは時にボクシングより過酷。浴びせられたのはブーイングの嵐。それでも選手は後半45分もフィールドに立たなければいけない。戦意喪失したセレソンは、逆転をしたい気持ちより、6点目の失点をしたくない、一秒でも早く試合が終わって欲しいという気持ちの方が強かったのではないだろうか。

後半が始まってもドイツは手加減無し。止めを刺した相手になおも全力で攻撃の手を緩めない。そこにゲルマン魂を感じた。69分、不名誉な記録に並ぶ屈辱の6点目がシュールレから生まれる。ドイツのカーニバル。79分、再びシューレルが歴史的悲劇を塗り替える破滅の7点目を記録すると、まだスタジアムに残ったブラジルサポーターはスタンディングオベーションでドイツを讃える。その後、ブラジルサポーターからドイツがパスを回すたびにかけ声がかかる。もちろん、これは味方のすばらしい闘いを賞賛するときに起きるもので決して相手チームにかけるものはではない。終了間際にオスカルが1点を返すがスタンドからは今さら遅いと言わんばかりのブーイング。そして砲撃終了を告げるホイッスル。

1-7 (Seven)

目を疑うスコアに、Sevenと読みがなをふるニュースもあった。 いつもならカーニバルのようなスタジアムからの帰路はお通夜というより今日は何もなかったかのなような雰囲気が余計に辛かった。

このまま家に帰る気分にもならず一人でセントロのパーティーエリアへ繰り出す。

→Part 3


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

belohorizonte-brazil-germany 21