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Cuiaba(クイアバ):奇跡を起こさなければいけない戦い「日本vsコロンビア」

Tue 24 June, 2014

グループリーグC組日本対コロンビア戦。日本この試合はクイアバで開催されるワールドカップの最後の試合。日本代表の最期の試合にはしたくない。

日本の予選グループ自力突破の可能性は消滅し、決勝ラウンドに進むためにはいくつかの奇跡を起こさなければいけない。強豪コロンビアに2点差以上で勝ち、同時刻に行われるコートジボワールがギリシャと引き分けるか負けると得失点差でC組2位を争うことになる。

japan-vs-colombia-cuiaba 5ホームステイでブラジル料理を囲み、家族総出で決戦の地パンタナール・アリーナへ向かう。スタジアムへ向かう途中の道では地元の子供たちやおばあちゃんが笑顔で手を振っている。この穏やかな時間がいつまでも続けばと思う。

デイゲームの今日は空の青とスタジアムの白と芝生の緑が映える。コロンビアとブラジルのサポーターの黄色のユニフォームの染まったスタンド。ラテンの勢いにも圧倒されこの大会はじめてのアウェイの雰囲気を味わう。

とはいえどコロンビアサポーターは予選通過を決め格下の日本を相手に余裕のお祭り模様。スタジアムに入りきらないサポーターが遠征し、勝利を疑うものはおらず自信に満ちあふれ大合唱のチャントをスタジアムに響き渡らせる。勝ち点以外にも日本にないものを持つ彼らを羨望のまなざしで見守るしかない自分がいた。

一方、瀬戸際の日本側は、わずかな熱いサポーターを除き、アウェイの雰囲気に怖じ気づいたのか、あるいは観光のことで頭がいっぱいなのか、すでに敗退を受け入れたかのようにもとれる勝気のなさ。奇跡が起こりそうな空気はなくサポーターの試合への影響力は完敗。まだ終わっていないと言い聞かせる。

japan-vs-colombia-cuiaba 17試合前のサポーター交流はワールドカップの醍醐味。手招きをするコロンビアーナに誘われカメラに向かっていっしょにダンスを踊る。赤青黄色のミサンガをもらったら日の丸ハチマキのお返しでフェアプレイを誓う。コロンビアから家族で応援に来た親子の片言の英語に片言のスペイン語で異文化コミュニケーションを試みる。ただし、行列ができるほどせがまれる記念撮影に応じれるのも今だけ。試合がはじまったら真剣勝負。

japan-vs-colombia-cuiaba 2316:00キックオフ。後がない日本は主力温存のコロンビアに対して背水の陣で神風の如く捨て身の攻撃をしかける。しかし前半早々に不用意なファールでPKを献上し先制を許す。激しく振ったコーラを開けた炭酸のようにスタジアムに歓声が溢れ出す。前半終了直前、本田圭佑の絶妙のパスにあわせた岡崎慎司のヘディングシュートがゴールネットを揺らす。炭酸が抜けたコーラのようにコロンビアサポーターを静める同点ゴール。見たかったのはこれだ。サムライの消えかけていた命のローソクに灯をともし奇跡が起きる予感が芽生える。それはかつて同じく厳しい条件をつきつけられた南アフリカ大会ブラジル戦、玉田圭司のゴールに一瞬の夢を見た興奮と重なった。

皮肉にもその後の展開まで再現され束の間の夢に終わる。後半、若きエース、ハメス・ロゴリゲスが登場するとコロンビアのショータイム。立て続けに追加点を奪われ、挙げ句の果てにはワールドカップ最年長記録を更新する43歳のGKモンドラゴンを交代でピッチに迎える。ワールドカップの公式戦にフレンドリーマッチようなスタンディングオベーションを許す屈辱に耐えなければいけなかった。

4-1完敗。通算成績1分2敗グループリーグ敗退。

敗退を告げられた帰り道にカメラを向けられて笑顔が作れるほど大人になれなかった。この結果を心の底から悔しいと思う日本人がどれだけいるか。選手も協会もサポーターもこの悔しさを忘れず上を目指して練習を続ければ強くなる。

japan-vs-colombia-cuiaba 10客観的に見ると妥当な結果。しかしワールドカップ優勝と言う夢を主観的に見ている。親が子の可能性を信じ良い時は褒め悪い時は叱らないと成長しない。スペインやイタリアですらグループリーグ敗退と慰めてたら前に進まない。他人と比べるのではなく、自分の中でベストを尽くせたかを問うべき。

闘っている最中に批判をして足を引っ張り、終わったら健闘を讃えるメディアもサポーターも逆。この悔しさを忘れる前に反省会をしよう。

現地サポーターのマナーは世界一、応援グッズとコスプレはトップクラスまで来た。勝利への貢献度や渇望は世界最低レベル。自分も含め地球の裏側まで応援に来るガッツがある日本のサポーターもう一歩前へ進めたい。

個人レベルでは選手も審判もサポーターも世界の最前線で戦える日本人はいる。しかしチーム全体としてワールドカップ本大会で戦える強さはない。協会とサポーターは幻想をみている。日本の弱さを知ることは強くなるための第一歩。

調子が良いときのパフォーマンスならベスト4ぐらいの力がある。だがここ一番で力がだせない。つまりそれは実力が足りないということ。まぐれのベスト8ぐらいが限界だろう。頑張っていないわけではないけど甘い。気持ちで負けている。ドイツの時から同じことを言い続けている。変わらなければ4年後もまた同じことの繰り返し。この数試合だけでなく4年間の検証をして変わらなければいけない。

選手も協会もメディアもサポーターも島国で井の中の蛙にならず海外に出て世界を知ることが一つの解。

japan-vs-colombia-cuiaba 21今回の代表チームの一番の功績はそれまで笑のネタにしかならなかった日本のワールドカップ優勝という夢を見させてくれたこと。ワールドカップがなけれぼパスポートも持ってなかったようなサポーターをブラジルに連れてきて日本人のグローバル化へ前へ進めた功績は大きい。ワールドカップはこれで終わりではない。むしろ決勝ラウンドからが本番。強豪国の試合を観て勉強し、4年に一度のパーティーに酔いしれよう。

なんでサッカーにそんなに熱くなれるのか。それはオーガズムを体験したことがない人にいくら説明してもわからない。日本代表が優勝しても自分の人生は何も変わりないと言う人がいる。その人にとってはそうかもしれない。ワールドカップで未来が変わった奴らはいくらでもいる。


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

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Natal(ナタール):崖っぷちの戦い「日本vsギリシャ」

Thu, 19 June, 2014

natal-studium 4レシフェからバスで南に5時間ほど下りワールドカップC組グループリーグ予選第二試合、日本対ギリシャ戦のナタールへ移動してきた。初戦にコートジボワールに敗れた日本代表は、二試合目にして早くも負けたらグループリーグ敗退を宣告される崖っぷちに立たされる。レシフェでのドログバの悪夢を忘れ、ナタールでワールドカップ優勝の夢をを思い出さなければいけない。

思い起こせば、かつてワールドカップに出場したことすらない日本がワールドカップ優勝なんて口にするのは翼君だけだった。マラドーナに熱狂したワールドカップは遠い海の向こうの大会。日本が出場するようになった98年から劇的におもしろくなった。2002年からは現地観戦をしサポーターとして参加するライフイベントに変わる。2012年にはなでしこジャパンが世界一に輝き、2014年は、ブラジル大会の開幕戦を日本人のレフリーが勤め、本田圭佑に引っ張られ日本人の中にも”ワールドカップ優勝”を熱く言葉にするものが出てきた。

natal-studium 5ワールドカップに出場できない国の旅人と話をすると、母国を応援しワールドカップ優勝を叫び熱狂できることがなんて恵まれてることなんだとしみじみ思う。この熱狂をリオデジャネイロまで絶やさないためにも、日本はゴミ拾いをしにきたんじゃないこと世界に伝えるためにも、今夜のギリシャ戦は絶対に負けられない。

natal-studium 7日本ボールでキックオフ。日本代表は香川真司をスタメンから外し、大久保嘉人が先発に起用される。目立ったシーンもなく、前半終盤にギリシャが退場者を出し数的優位に立つ日本。イエローカードに湧く日本サポーターの思惑とは裏腹に、ただでさえ守りの堅いギリシャは10人になり徹底防戦を固める展開に。後半、長谷部誠out遠藤保仁in。続けて10番香川真司を投入。日本のゴール裏からお約束のコール。ドログバが投入されたときのような響めきはない。流れは変わらず、お互いゴールの予感もなくただ時間だけが過ぎる。日本代表の応援のような、リスクを冒さずメリハリのない単調なオフェンス。やっと変わったと思えば不慣れなパワープレー。一人少ないギリシャ相手にスコアレスドローのまま試合終了。

natal-studium 16アレーナス・ダス・ドゥーナスの観客席には、地球の裏側から駆けつけたサムライブルーのサポーターとフェイスペイントやハチマキをした日本びいきのブラジリアンで埋めつくされていた。

言いたいことは腐るほどあるけど、本気でワールドカップ優勝を目指すなら文句を言ってるサポーターに問いたい。悔しくないの?せっかくブラジルまで来るガッツのあるサポーターだからもう一歩先へ進みたい。

例えば何をしたらいいか?”日本らしく”もいいけど、下手なんだから強豪国から学ぼう。個性を出すのは基礎ができてからで遅くない。箸の持ち方が下手な子供がいたら上手な持ち方を教えるのは個性を否定することではない。

まず最後まで勝利を信じること。コートジボアール戦のような同点、逆転された状況で敗戦を受け入れなかっただろうか。開幕戦でブラジルは先制されても誰もがブラジルの勝利を疑わず声援を送り続けた。失点を責めるのではなく得点を応援しよう。

natal-studium 10次に、相手が危険なプレーや時間稼ぎをしていたらブーイングでプレッシャーをかける。試合後に批判を書くのは得意だけどその場ですぐスタジアムで声を出してブーイングというのができない。どのタイミングですればよいか分からなければ今回に限り日本を応援してくれているブラジル人が教えてくれるのでそこに重ねればいい。ブラジル人があれだけブーイングしてくれてるのに日本人サポーターは黙って見ていたり写真を撮ってる場合ではない。我慢するのはそこではない。声を出すことを恐れてはいけない。

そして、味方の良いプレーには拍手と声援を、悪いプレーにはブーイングを。かわいい子を育てる時、良いときは褒めて悪いときは叱るのと同じ。ブラジルやドイツならチームのプレーに満足しないときは味方にも容赦ないブーイングが浴びせられる。ゴールやすばらしいプレーには惜しみない拍手をする。試合中ずっと同じ調子で応援歌というのも気味が悪くいいかもしれないが、メリハリをつけた方がいい。

natal-studium 11日本のサポーターの個性は世界でも際立っている。敗戦でも試合終了後にゴミ拾いする行為は見えている世界の違いで賛否両論あれど、日本人の素養、品の高さを世界に伝えている。応援にゴミ袋を使いスタンドを青く染め、雨が振ったら合羽にもなり、最後はゴミ拾いをして帰るなんて天才だ。ローコストでハイリターンを生みクリエイティビティに溢れている。

ユニフォーム交換をするようにミサンガや各国のお土産をワールドカップ会場で配る行為は昔から他の国でもあったけど、スタジアムでハチマキを配り中立の観客を日本のサポーターに変えるアイデアもや空港で日本の手袋を配るアイデアも日本人の想像力は世界のトップクラスだ。これらのプロジェクトは多くの有志とそれに賛同した和の力で成り立っている。

時代をもう一歩先へ進めよう。日本の勝利を願うサポーターなら今は批判や敗戦ムードを漂わせるより明るく前向きに奇跡が起きる雰囲気を作ろう。苦しいときこそ応援するのがサポーター。

コップに水がほとんどないと考えるか、まだ水があると考えるか。もう絶望的と考えるか、まだまだ可能性があると考えるか。

 


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

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Recife(レシフェ): もう一つのワールドカップ会場、サッカー馬鹿が集うファンフェスタ

Mon, 16 June, 2014

入手困難、高騰するワールドカップ観戦チケット。困難な大陸の移動。スタジアムに行けなくてもワールドカップを楽しめる場所がある。FIFA公式パブリックビューイングのファンフェスタだ。だいたいワールドカップの開催都市の中心地にあり、そこには大迫力の巨大スクリーン、大音量のスピーカー、スポンサーのイベントブース、ビールやソフトドリンクの屋台、サッカーを観戦するためにこの上ない環境が整えられている。その場所に世界中のサッカー馬鹿が集う。昔からワールドカップ期間中は、何度も通う大好きな場所。

 


著者:Ken Utsumi #u23ken

『世界23周の旅』3周目中。未来の働き方・生き方に挑戦する。24歳のときトロントで起業。留学&就活を支援。未来法人U23代表CEO兼デザイナー。神戸生まれ、サッカー好き、旅人。

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